会長就任挨拶 「新しい酒は新しい革袋に盛れ」
日本ケミカルバイオロジー学会会長 長田裕之
静岡県立大学薬学部・特任教授
2018年6月に開催された世話人会で、萩原正敏・前会長の後を受けて会長を拝命いたしました。どうぞよろしくお願いします。
1990年代後半から、米国を中心にしてケミカルバイオロジー研究が興隆してきました。2005年にNature Chem Biolが、翌年の2006年にはACS Chem Biolが発刊された時には、この分野の急速な隆盛を感じたものです。我が国では、2005年に世界に先駆けてケミカルバイオロジー研究会(長野哲雄会長、萩原正敏事務局長)が発足し、2006年に第一回年会が開催されました。2008年に研究会から学会に組織変更され、現在では会員数が800名を超える学会に育っています。その後、国際ケミカルバイオロジー学会が発足し、2012年以降、毎年世界各地を巡りながら開催されています。
日本の大学(農学部、薬学部など)では、昔から化学と生物の学際研究が盛んであったために、特にケミカルバイオロジーという呼び方をしなくても、その研究は行われていました。しかし、ケミカルバイオロジー学会が発足したことで、学部の枠を超えて関連研究者が一堂に会する機会ができました。手前味噌かもしれませんが「新しい酒は新しい革袋に盛れ」という言葉の通り、ケミカルバイオロジー学会ができたおかげで、従来とは異なる新しい考え方や技術が生まれてきていると思います。年会は本学会が会員に提供できる数少ない機会ではありますが、会員同士が研究成果を発表し、討論することによって、お互いの研究レベルを高めることに貢献していると思います。
私は、初代会長の長野先生、二代目会長の萩原先生が作ってきた自由な雰囲気の学会を継承するとともに、さらにケミカルバイオロジー研究を加速するため、尽力したいと思います。
会員の皆様のご協力ご支援のほど、よろしくお願いいたします。
日本ケミカルバイオロジー学会
第三代 会長 長田 裕之