日本ケミカルバイオロジー学会会長 袖岡幹子
理化学研究所環境資源科学研究センター副センター長
2024年5月に開催された世話人会ならびに総会において、長田裕之・前会長の後任としてを会長を拝命いたしました。どうぞよろしくお願いします。
日本では、昔から天然物化学を中心に、農学部や薬学部などで、化学と生物の学際研究が盛んに行われてきました。一方1990年ごろから米国で、小分子や化学的手法を使って生命を理解しようという研究が、ケミカルバイオロジーという言葉とともに盛んになり、ひとつの研究分野として注目されることとなりました。我が国では、2005年に世界に先駆けてケミカルバイオロジー研究会(長野哲雄会長、萩原正敏事務局長)が発足し、2006年に第1回年会が開催されました。2008年に研究会から学会に組織変更され、現在では会員数が1300名を超える学会に育っています。毎年日本各地で開催してきた年会も、2026年には記念すべき第20回を迎えます。また、本学会の数年後に発足した国際ケミカルバイオロジー学会(ICBS)とも連携しており、その第2回年会は本会が共同ホストとなって2013年に京都で開催されました。
ケミカルバイオロジー研究は、ゲノムだけでは理解できない複雑な生命現象を分子レベルで明らかにし、その制御に道を開く研究であり、創薬や食料・環境問題など社会課題の解決にも貢献可能な重要な研究分野です。現在ケミカルバイオロジー学会には様々な大学・学部、研究機関の研究者に加え、企業の研究者の方々にもご参加いただいております。年会は学部や産官学の垣根を超えて関連研究者が一堂に会し、交流する機会ですので、新しい研究や人々との出会いと議論の場としてぜひ多くの方々にご参加いただきたいと思います。
歴代会長の長野先生、萩原先生、長田先生をはじめ、世話人の先生方の多大なるご尽力と賛助会員様のご協力により、本会は学生会員や一般会員の年会費無料という画期的なシステムで運営され、たいへん自由な雰囲気の学会として発展してきました。私もこの本学会の良いところを継承し、ケミカルバイオロジー研究のさらなる発展のため、微力を尽くしたいと思います。
ひきつづき会員の皆様のご協力ご支援のほど、よろしくお願いいたします。
日本ケミカルバイオロジー学会
第四代 会長 袖岡 幹子