日本ケミカルバイオロジ−学会第6回年会は、2011年5月23-25日の3日間、東京工業大学大岡山キャンパスにおいて開催されました。3月11日の東北地方太平洋沖地震による大被災の直後にもかかわらず多数の参加者にお越し頂き、口頭発表40題とポスタ−発表123題の研究成果が発表され、活発な議論がなされました。

今回は、「日本ケミカルバイオロジ−学会」年会長として、産学連携研究を如何にして強化するか、また、全国の各大学で行われている個性的な研究を如何にして活性化し、産学連携につなげるか、さらには、我が国の企業および大学におけるケミカルバイオロジ−の強化や、それぞれの独自性についてもっと突っ込んだ討論をするために、はじめての試みとしてワークショップを企画しました。ただ、時間的な制約もあり、私の期待したものとは若干異なったもので終わりましたが、企業から予想をはるかに上回る多くの参加者があったお陰で本年会が産学間の良い交流の場になったと安堵しております。

初日に、大村先生と長屋先生の大変素晴らしい講演があり、皆が非常に感激し、興奮冷め遣らぬ時に懇親会に入り、大いに盛り上がった事も本年会の成功を物語っていると感じました。また、次の日に、1993年に分断遺伝子の発見でノ−ベル医学生理学賞を受賞したMITのSharp先生が最近取り組んでいるnon-coding RNAsの概説と最新の情報提供もあり、その研究の深さに感激し、明日からの己の研究に対して「初心」に戻って楽しむ決意をしました。さらに、ワークショップは始めての挑戦的な企画であり、今後さらに発展することを願っております。

[特別招待講演]
・Phillip A. Sharp(Professor Massachusetts Institute of Technology・Koch Institute for Integrative Cancer Research)
「Roles of non-coding RNAs」
[招待講演]
・大村智(北里大学 名誉教授)
 「特異ターゲットを有する微生物代謝産物の発見」
・長屋秀明(武田薬品工業(株) 医薬研究本部生物研究所)
 「TLR4シグナル伝達阻害薬TAK-242(resatorvid)の創薬研究」
[ワークショップ]「ケミカルバイオロジーにおける産学連携」
座長:大和隆志(エーザイ株式会社 オンコロジー創薬ユニット プレジデント)
・吉野公一郎(カルナバイオサイエンス(株) 代表取締役社長)
・辻尚志(味の素製薬(株) 取締役常務執行役員研究開発本部長、創薬研究センター長)
・西村伸太郎(アステラス製薬(株) バイオイメージング研究所長)
・高橋孝志(東京工業大学 教授)
・細谷孝充(東京医科歯科大学 教授)
・石井康彦(文部科学省 研究振興局 ライフサイエンス課)
・岡田正孝(経済産業省 生物化学産業課)

また、例年通りに大学院生にポスター賞を授与することができ、彼らの将来に少しでも役立てればと願っております。


[ポスター賞受賞者]
・八木浩亮(熊本大学 大学院自然科学・生命科学)
「スプライシング因子SF2の核スペックル局在化阻害化合物の解析」
・坂田未希(東京工業大学 大学院生命理工学研究科)
「サリドマイド標的タンパク質CRBNに結合する因子の解析」
・篠倉潔(東京大学 大学院薬学系研究科)
「硫化水素 (H2S) 選択的蛍光プローブの開発」
・鈴木貴大(東北大学 大学院薬学研究科)
「Methyl gerfelinをリードとしたGLO1選択的破骨細胞分化阻害剤の合成と評価」
・菅野貴美幸(東京工業大学 大学院生命理工学研究科)
「かさ高い芳香族アジドによるクリック反応の高速化」
・馬場玲輔(大阪大学 大学院工学研究科)
「ヒストン修飾酵素活性検出のための新規蛍光プローブの開発に関する研究」
・坂部雅世(東京大学 大学院薬学系研究科)
「新規プロテアーゼ活性検出蛍光プローブの開発と高感度がんin vivoイメージング」
・山越博幸(JST-ERATO, 理化学研究所基幹研究所)
「ラマン顕微鏡を用いたDNA合成プローブEdUの生細胞イメージング」

最後に、多大なるご支援・ご高配を賜りました賛助企業の皆様に、ここに厚く御礼申し上げます。

東京工業大学(第6回年会実行委員長) 半田 宏