日本ケミカルバイオロジー学会第10回年会は、2015年6月10日から12日の3日間、東北大学川内キャンパス 川内萩ホールにて開催されました。関東圏、関西圏以外での初の地方開催でしたが、349名の参加者にお越し頂き、感謝の念に堪えません。

本学会も記念すべき10回目を迎え、生物と化学の境界領域を幅広く取り込みつつ、学際領域研究に携わる研究者の交流・議論のための重要なプラットフォームとして完全に定着したことを実感しました。本学会は、学際領域での問題点を議論し、ケミカルバイオロジー研究に発展させる起点を提供する貴重な機会としても機能しており、日本の研究者にとって極めて重要な機会となっています。また、本学会は企業からご参加頂く研究者が20%以上と非常に多いことも特徴であり、産学官の情報交換と連携の基盤としての重要な役割を担っています。

今回は、10周年を記念して本学初代会長 長野哲雄先生と現会長 萩原正敏先生に記念講演を頂いた後、口頭発表36題とポスター発表103題の研究成果が発表され、活発な議論が行われました。また、「新学術領域研究 天然物ケミカルバイオロジー」との合同で国際セッションを開催し、以下の様に国内外の9名の先生方からご特別講演・招待講演を頂きました。

[国際セッション特別講演]
・Andrea Chini (National Center for Biotechnology, Spain)
「Pim-kinase inhibitors modulate JA and auxin responses」
・Michael Kahn (University of Southern California, USA)
「Pharmacologic manipulation of stem cells and cancer stem cells」
[招待講演](敬称略)
・長野哲雄(東京大学 名誉教授)
「日本ケミカルバイオロジー学会の10年の歩みおよび私の最近の研究進歩状況」
・萩原正敏(京都大学 大学院医学研究科)
「日本ケミカルバイオロジー学会のこれから10年に向けて アカデミア創薬と国際化」
・永井健治(大阪大学 産業科学研究所)
「高光度発光タンパク質を利用したバイオイメージング」
・嶋田一夫(東京大学 大学院薬学研究科)
「NMRを用いた創薬標的タンパク質の機能解析」
・山本雅之(東北大学 大学院医学系研究科)
「Keap1-Nrf2制御系の分子基盤と疾患」
・今井由美子(秋田大学 大学院医学系研究科)
「宿主核内ネットワークを標的としたインフルエンザ治療薬の可能性」
・平間正博(東北大学 名誉教授)
「世界最大の海産物中毒シガテラと化学のインターフェース;抗腫瘍性エンジイン化合物からp-ベンザインの化学へ」

ポスター発表会場が少々狭くご不便をおかけしましたが、恒例のスライド1枚/1分間でのプレゼンテーションのおかげで、効率よく活気あるディスカッションができたかと思います。審査委員の先生方のご協力により、優秀な若手発表者5名にポスター賞が授与されました。さらに今回から、英国王立化学会(RSC)のご助力によりRSCMolecularBiosystemsポスター賞が新設され2名に授与されました。

[RSC MolecularBiosystems ポスター賞](敬称略)
・渡邉瑞貴(京都大学化学研究所)
「内因性小分子による脂質生合成抑制機構の解明」
・江越脩祐(東北大学大学院理学研究科)
「植物毒素コロナチンの作用部位解明を目指した変異体植物の孔辺細胞In vivo ラマンイメージング」

[ポスター賞](敬称略)
・川口充康(名古屋市立大学大学院薬学研究科)
「可視光制御型ミトコンドリア局在性NOドナーによるミトコンドリア断片化制御」
・高橋大輝(東北大学大学院生命科学研究科)
「選択的オートファジーにおけるタンパク質S -グアニル化の役割」
・今野翔(京都大学大学院薬学研究科)
「アデニレーションドメインに対する活性部位指向型プローブを利用した非リボソーム性ペプチド合成酵素活性のプロファイリング」
・岩崎有紘(慶應義塾大学理工学部)
「海洋生物由来新規生物活性物質の構造と生物活性」
・大島豪(名古屋大学大学院理学研究科)
「哺乳類時計タンパク質に作用する生物時計制御分子の構造活性相関研究」


最後に、絶大なるご支援とご高配を賜りました賛助企業の関係者の皆様に厚く御礼を申し上げます。